ここでは、たけ山をよく利用されている文化人の方々にうどんに関わるエピソードついてインタビューしております。
今回は75歳を過ぎ、なお現役で各地高座にて活躍されている三笑亭笑三師匠にお話をお伺いしてみました。
噺家にとって大切なのは粋を尊ぶ心。そのポリシーはうどんの食べ方にも現れている。
 麺と揚げ物は別々に食べる。麺は海苔のない「もり」。揚げ物はつゆにつけず塩で。それが粋というもの・・・。
 そんな師匠も、気兼ねなく気のあった人と一緒に食事するとき、そんな時にたべたくなるのが「うどん」と言う。

最高の調味料は空腹
戦後、配給の米一升と池袋一坪は同じ300円だったんですよ。それだけ米は高価なものだったんです。代用食としていも、うどんを食べていた訳なんですが、それが今と違って粉(の品質)はひどかった。そのころは量さえ取れればよいという考え方だったんでしょうね。うどんも太かった。今で言ったら大根をがりがりかじれっていったところでしょうか。だけどおなかが空いちゃあ(仕方がないから)食べたんでしょうね。最高の調味料は空腹なんです。・・・やっぱり美味しかったんですね。

粋を尊ぶ文化
噺家というのは粋を尊ぶんですよ。名前の付け方からしてそうです。わたしの師匠の三笑亭可楽というのは「山椒てぇのは辛く」からつけられているんですよ。わたしも前座の時は(三笑亭)可寿美と言う名前だったんです。通常、弟子は師匠の名前から一字もらって付けられるですけれども、わたしは師匠から「おまえはいつもぼや〜としているから可寿美(かすみ:霞に掛けて)と付けてやる」と、こんな風です。
そうそう、こちら(東京)の噺家は蕎麦好きが多い。しかし、わたしはそばよりむしろうどんが好きなんです。
麺も太めの方がいいです。種物(おつゆの中に天ぷらなどがのっているものであり、代表的なものとして天ぷらうどんがある)はあんまり、麺そのものの食感が失われてしまうような気がして。できれば麺は麺だけ、海苔だってのってないほうが好きです。また、揚げ物が付いてきても別に食べてます。第一あの「かりかりっ」したおいしいものをそのまま食べないのはもったいないじゃないですか。私の師匠の可楽は決しておつゆをつけて食べなかった。「天ぷらって言うものは塩で食べるもの。(つゆをつけるなぞ無粋)」とよく言っていたものです。

旅は道づれ・・・
気の合ったひとと楽しい話をしながら食べる。そんなときにうどんが食べたいです。また、それが旨いんですよ、一番。旅は道づれというか・・・そういう感じで食べたいですね。
家族で食べるとき、夫婦のときだってそうじゃないですか。料亭なんかじゃだめなんですね。ざっくばらんに気兼ねなく、それが理想だと思います。
「うどん」ってそんなものなんじゃないですか。

(平成9年6月たけ山にて)

(さんしょうてい・しょうざ)
大正十四年東京生まれ。早稲田第二学院在学中、学徒動員。復員後、三笑亭可楽の門を叩き、前座、二ツ目を経て昭和三十六年真打ちに。「上から読んでも下から読んでも三笑亭笑三」をキャッチフレーズに人気者になり現在に至る。昭和三十九年芸術祭奨励賞受賞。特技の漫画やビデオ製作は玄人はだし。
現在、落語芸術協会理事。東京都東久留米市在住。
著書「三笑亭笑三のRAKUGO人生」「話上手になる秘訣(コツ)」 など
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