生地づくり
塩水濃度を計るボーメ計を利用しながら塩水をつくる。水は平林寺の自然によって十分に浄化された深い位置の地下水を浄水器を併用しながら利用。また、溶かす塩の量は年間通して一定量にし、加える水の量で濃度を調整している。
混合機に温度、湿度が管理された専用貯蔵棚に保管されている麺用粉(日清製粉・主に麺許皆伝、季節によって他銘柄をブレンド)を一回に3kgの量を入れ、塩水を加えて撹拌する。加える塩水の量は、その日の天候(気温、湿度)によって微妙に変化させる。この加減は長年の経験が必要となる。
程良い加水状態になると粉は小さな粒状に変わってくる
これによって最終的な生地の仕上がり状態が決まってしまう。そのためこの撹拌作業中は常にチェックが必要となる。
塩合わせを終えた生地をバットに入れ機械によって圧力を加える。二つ折りにし、また圧力を加える。この作業を5回繰り返すことによって生地中に生成されるグルテンが縦横へと重なり合い腰が生まれてくる。
この生地を専用貯蔵温蔵庫にて一定温度・湿度のもと約20時間寝かせる。
寝かしたこれら生地に対しての仕上げの踏みあげ作業は、釜ゆでの直前に熟練した者がひとつひとつ手間ひまかけておこなっている。日祭日にはこの作業が、優に4時間を越えておこなわれている。
このように鍛えぬかれた生地を延ばし、麺線へとおとす。創業当時は店主自らが一貫した手作業による麺延ばしをおこなっていた。しかしながら、食数が多くなった現在では、安定した品質を維持するために切る工程は機械の世話になっている。
本がえしづくり
おつゆは蕎麦と同様、関東流に専用のかえし(本がえし)をつくり、これを専用のだしでのばす方法を採っている。
しょうゆ1斗(濃口1、淡口3の割合)、本みりん2升、地酒1升そして上白糖2.8kgを配合。砂糖の量を比較的少な目にすることによってみりん、日本酒のエキス分を最大限に引き出しているこれらのアルコール分をとばしてしまうと同時にアクを取りながら中火で煮きる(写真7)。この間約一時間、屈折計で糖度を確認しながら、煮きり作業を終える。
最終的な収量は、ほぼ20リットルとなる。合わせたしょうゆは、保存用のかめに移し、約二か月間温度、湿度の管理された暗室で寝かせる。こうすることによってしょうゆの角が取れてまろやかになり隠し味の酒エキスとよく馴染んでくる
だしとり
うどんはだしが命である。たけ山では肉厚のある北海道の羅臼産昆布(写真9)を漁協より直接仕入れ、専用の保冷庫で2年以上寝かせる。この昆布は料亭などでの澄まし汁には、色が濃く出てしまい向かないのだがうどんのだしには最適といえる。
この昆布250gに切れこみを入れ水を張った寸胴につけておき、沸騰直前に引き揚げる。それと同時に節類(生産業者に採取時期、乾燥方法・期間、削り厚を指定発注した、本鰹1kg、宗田鰹500g、鯖500g、季節によって配合割合を変えている)を入れ、泳がせる。
このだし取りのポイントは、昆布と節の配合割合とそれらのうま味成分抽出方法にある。
中火で約40分、仕上げに焼いた鉄棒を入れ、節類による生臭みを消す。
収量は約36リットル、これほどの量のだしでも2時間もしないうちに使いきってしまう
おつゆの仕上がり
うどんのつけ汁は辛つゆと呼ばれだしにかえしを加えて作っている。原則としてだしとかえしを13対3に配合したものを屈折計にて塩度をチェックしながら微調整している。つゆの塩度は約10度、最汗時期の夏場は1度程度高めに設定している。
このようにして仕上がったつゆは寸胴に保管し、流水で地下水と同じ温度まで冷やす。
そして一定濃度、温度で提供できるよう、撹拌しながらお客に提供する直前まで管理している。
麺線のゆで揚げ
たけ山の釜の数は3つ。繁忙時にはこれらをフル稼働させている。一つの釜に入れられる麺の量は十二、三人前が限度、これ以上麺を入れると茹で湯の温度が下がり、麺が釜の底に沈んでくっついてしまう。そのために、混ぜ棒でかき混ぜるのだが余り頻繁におこなうと麺の角が取れてしまう。これら茹で揚げ作業・見極めは経験に頼らざるえない。時節によって茹で揚げ時間が異なるのだが二十分近くかけている。最終的な仕上がり具合は麺のしなり具合、手触りで確認。
茹で揚げ後の処理として麺の表面を丁寧にもみ洗いをおこなう。たけ山では地下水を滅菌処理し利用しているために年間通して摂氏16度と安定した温度で水洗いすることが可能となっている。
そして注文ごとにせいろに盛る。この盛り方は創業以来変わっていない。


今般容易に口にできる、単にコシの強い麺、味・香り付けされたつゆといったうどんとは尺度が違う。この地ならではの味わい、そして「郷土の水」にこだわるたけ山の「しなやかな麺、コクとキレのあるつゆ」創りは今もなお進行中だ。

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